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おかげ様ブラザーズのVo、kinta minoのブログ。
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先日、テレビ和歌山というローカルのテレビの仕事で、ポルトヨーロッパというテーマパークに行ってきた。
場所は和歌山マリーナシティーというリゾート開発された中の一角で、あのカレー事件の林眞須美も買っていたリゾートマンションや、黒潮市場という海鮮物産空間や、温泉やヨットハーバーや観覧車のある遊園地なんかもある。

ポルトヨーロッパというだけあって、イタリアあたりの街並を再現した作りになっていて、その中に雑貨の店やお土産物屋や幾分マニアックな店なんかもあって、それなりに楽しかった。
和歌山に暮らしていてもなかなかプライベートで何度も足を運ぶ事も無いだけに、新鮮な気分でリラックスした仕事だった。
割と広くて、様々なアトラクションや期間限定のテーマイベントなんかもある。その中の「懐かしい昭和の思い出展」という、おもちゃとレコード(LPやEPなんかのね)とカメラの展示してある空間の片隅の壁に「懐かしいデザート」みたいな広告が貼ってあって、黒糖カンテンと白いふわふわの大福みたいな奴とミニどら焼き×3の写真と「各、番茶付きで500円」みたいな事が書いてあった。
それだけでは、そんなに和物デザートなんかに興味が無い俺が食い付くはずが無い。
そのポスターの一番下に店の名前が書いてあった。

『甘味処 レストラン イターリア』

なんじゃ〜!このネーミング!
ディレクタに尋ねると、この後その店でまさにその和物デザートを食するところを撮影するらしい。
食い物よりも店の名前が気になっていたので、ワクワクしながら『甘味処 レストラン イターリア』に向かった。

はたしてその店は、ポルトヨーロッパの広場のど真ん中にあった。
やはり西欧風の石造り(ダミーだけれど)の店構えにエントランスがあって、オープンカフェの様相を呈している。ただ店の看板には『レストラン・イターリア』としか書かれていない。
しかし、店の前に立てかけられているメニューボードを見た瞬間、俺の脳内に、オープン当初から様々な時の変化があり、その中で幾度となくくじけそうになるも努力と粘り強さでがんばってきた、そんな物語の映像が嵐の如く渦巻き涙が込み上げてくるのであった。
20080428110425.jpg











画像が小さすぎて良く分からないかもしれない。すまん、説明する。
1列目は「カレーメニュー」、2列目は「ハンバーグメニュー」3列目にやっと「ピザ・パスタメニュー」があるも、わずか各2種類のみ、そして5列6列目には堂々の「丼メニュー」となっているのである。
おお『レストラン イターリア』俺は見とどけたぞ!お前の生きてきた証を!
そして、あの「懐かしの昭和の思い出展」に貼り出されていた『甘味処 レストラン イターリア』という期間限定の店名の潔さ(いさぎよさ)!
愛おしい!まさに愛おしい!
そうこう思いを巡らせ、涙止まらぬ俺の前に「和物デザート3品」が店長らしいこぎれいなオヤジによって運ばれてきた。
おお『レストラン イターリア』、これ以上俺に涙を流させないでくれ。
3品ともまったく何て事ない普通のデザートじゃないか。この3品の為にお前は本来の店名の前に、期間限定とは言えプライドを捨てて『甘味処』という烏帽子(えぼし)をつけ、みなに喜ばれようと道化を振舞うのか。
もうやめてくれ。涙で…涙で前がよく見えぬ。

「デザートに付いている番茶は、徳川家献上品ともなっておりました有名なお茶でございます。」店長らしきオヤジが控えめにしかし確実にそんなプチトリビアを披露してくる。
おお『レストラン イターリア』!もういっそ俺を今すぐ殺してくれ!
彼は間違いなく「イタリアンレストラン」のフロアをスキップしながら、本場の調理人が焼いたピッツァ・マルゲリータをお客さまの笑顔の前に提供したいはずなのに…。

『看板の3列目のメニューをすべて、私のこのテーブルにもってきて下さい。』
心の中でそう叫びながら、俺は大福をほおばり、俺とオヤジの涙の味がする番茶をすすった。

『ボ…ボ…ボーノ』
俺は唇に指先を突き付けそう言って手のひらを顔前に突き出した。
店長らしきオヤジの瞳にも熱いものが光っていた。

撮影も終わり、涙も枯れた俺は半ば放心状態で店を出ようとしたまさにその時だった。
一言も会話は交わしてはいないが、確かな熱い絆で結ばれた事を互いに確信していた店長らしきオヤジが、俺の背中に一言だけそっと投げかけた。

「またゆっくりどうぞ。丼も結構美味しいですよ。」

おお『レストラン イターリア』!もう、ほんとうにもう勘弁して下さい。
あなたは日本一、いや世界一のイタリアンレストランです。
来ます!必ずもう一度来ます。
そしてその時は、看板の3列目のメニューを左から順番に堪能します。
ありがとう。あなたに逢えてよかった。

夕日を呑み込みかけた水平線を眺めながら、1年にも感じるこの数時間を思う。
微かに聴こえるアコーディオンの軽快なサウンドが、周りの採採の風景をモノトーンに誘う(いざなう)。明日からまたお芝居の稽古が始まる。
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伝説のコミックバンド『おかげ様ブラザーズ』のリーダー&ヴォーカル。バンド復活に伴い当blog open。
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